「えっ?その話、本当なんですか?」
同僚から衝撃のニュースを今まさに聞いたのではあるが、私は全く理解が追いつかなかった。
「そうなんだよ。今月いっぱいなんだって。」
同僚はそう話す。
「今の案件どうするんですか?女上司さんいなくなったらこの先。」
本心では案件より女上司さんの事が気になって仕方がない。
「ご結婚みたいよ。まっ仕事の方は俺たちで何とかするしかないっしょ。」
同僚はそう話す。
「女上司さんは寿退社するって訳ね。」
私は歯軋りしながらそう呟いた。
「だね〜。めでたいよね。お祝いしなくちゃだね〜。」
同僚はそう話す。
変だと思っていた。
ここ半年、女上司の私への腹パン回数は激減していた。
入社以来ほとんど毎日、愛の指導とか言いながら私に腹パンして来たくせに。
腹パンでストレス解消しなくても幸せ急上昇だったのね。
「何よ〜。聞いてないわよ!」
私の心の奥底から表現し難い感情が溢れてくる。
散々私を痛ぶって来たくせに自分だけ幸せになって炎上生活から離脱しようなんて…。
「嗚呼もう!私ね、あの人にひとこと言ってやりたいのよ!」
「えっ?何を?」
同僚は質問する。
「女上司さんに言いたいのよ。今まで散々私に腹パンしておいてさ、自分は寿退社で炎上生活からおさらばってさ…。」
「おさらばってさ?」
同僚は質問する。
「腹パンの時、水月だけは打たないでくれてありがとうございました!どうかお幸せに!」
私は遠くで喜び跳ね回っている女上司に向かって叫んだ。